紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
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  「害虫防除の常識」    (目次へ)

    2.有害生物(害虫)管理にあたって守るべき事柄

     9) 農業とJAS法とのかかわり

 JAS法とは?

 JAS法の正式名は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」という。この法律は、食料品、飲料および油脂(農産加工品を含み、酒、医薬品等を除く)等の品質やこれらが特別な生産方法で作られていることを保証する「日本農林規格」制度と、原材料や原産地など品質にかかわる表示を義務付ける「品質表示」制度によって、生産と消費の合理化を図り、消費者の選択を助けるものとなっている。

 最近、新聞報道などで取り上げられている食品の原産国・原産地の詐称や、賞味期限の偽造問題は、JAS法の品質にかかわる表示違反としても責任が問われている。 

 JAS法に基づく日本農林規格の品質基準とは? 

 日本農林規格で定められている基準は、下記の通りである。
1.成分、性能その他の品質についての基準
2.生産の方法についての基準
3.流通の方法についての基準

 なお、「生産の方法又は流通の方法」についての基準は、その特色があるために価値が高まると認められる農林物資に設けられ、有機栽培の農産物とその加工品が該当し、これについては後述のような生産基準等が設けられている。

 品質表示を適正化するために、製造業者が守るべき表示の基準として、「名称、原料又は材料、保存の方法、原産地等」が示されている。また、農産加工品については、平成13年度から期限表示(賞味期限、消費期限)も義務付けられた。なお、食品衛生法でも同様に期限表示が義務付けられている。

 食料品および飲料・油脂以外で「日本農林規格」の表示基準が決まっている農産加工品として、いぐさ製品、生糸、農産物又は畜産物を原料あるいは材料とする飼料、木材加工品がある。

 日本農林規格による格付

 農産物やその加工品等の農林物資を生産、販売、輸入、小分けする者は、あらかじめ登録認定機関の認定を受けて、生産行程や流通行程を適切に管理すれば、「日本農林規格」による格付けの表示を行うことができる。登録認定機関は、農林水産大臣から登録を受けた機関であり、生産、販売、輸入、小分け業者の工場又は事業所及び農林物資の種類ごとに格付けを行う資格があるかどうかを認定する。

 有機農産物及びその加工品の表示

 有機農産物及びその加工品に有機JASマークを付ける場合には、その農産物の生産に用いた種苗の播種又は植付けの二年前(多年生の植物から収穫されるものについて、その収穫の三年前)からその農産物の収穫に至るまでの間、化学的に合成された農薬、肥料及び土壌改良資材(使用することがやむを得ないものとして農林水産大臣が定めるものを除く。)(以下、「化学農薬等」という。)を使用しないほ場で収穫された農産物に限られる。(なお、その農産物の収穫の一年前から収穫に至るまでの間、化学農薬等を使用しないほ場であつて、その農産物の収穫後も引き続き化学農薬等を使用しないことが確実であると見込まれるものも含まれる。)

 有機農産物を原料又は材料として製造し、又は加工した飲食料品にも有機JASマークを付けることができる。

 有機農産物あるいはその加工品として生産、流通させるためには、有機農産物にかかわる生産者、流通業者、販売業者、小分け業者のいずれもが、生産行程あるいは流通行程を適切に管理し、一定の技術水準にあるかどうかの認定を登録認定機関からあらかじめ受けておかなければならない。

 登録認定機関の認定を受けないで生産された農産物やその加工品に有機JASマークを付けることは禁じられている。

□関連情報:法律関係は「農林水産省HP」で参照できます。


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